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東洋医術の門

「氣」について

2025年3月1日

先日、一会員の方から、「氣」をどうすれば出せますか?
という質問を受けました。
それで、すぐに「もう充分に氣はめぐっていますよ」と
お答えいたしました。
どうして、このような質問を出されたのか、
その理由を聞き返さなかったので、
その時の私の回答がその方の疑問解消になったかどうか、
今後の練習中のやり取りの中で確認していきたいと思います。

それでまた、ここで繰り返しの話になるかもしれませんが、
「氣」について、少し記述したいと思います。
内神道では「氣勁」ともいいます。
一時期、「気功」ブームというものがありましたね。
手をかざしただけで人が飛んでしまうとか、
鉄棒で身体を叩いても、その鉄棒が曲がるだけで
身体はなんともないとかの映像がテレビで流れていました。

「気功」には、「外気功」と「内気功」とがあると言われています。
テレビなどで取り上げられたのは「外気功」です。
人を倒さないまでも手を当てて、具合の悪いところを直す方法も
「外気功」と呼んでいます。
かつて、
「中国気功療法」の看板を街中のいたるところで見かけましたが、
最近は見かけませんので流行倒れの感があります。

野口晴哉先生の創始された「野口整体法」でいわれる
「輸氣」も、外気功といえますし、東洋医学の療法も、
大きくくくれば外気功といえます。
 「内気功」は別名「養生功」とも呼ばれています。
自分自身で経絡や経穴、ヨガでいえばチャクラなどに氣をめぐらし、
養生、健康維持をはかる功法ですね。
体幹の中心にある任脈と督脈に氣をめぐらすことを「小周天」、
体中の十二の経脈に氣をめぐらすことは「大周天」と言っています。

 こんな風に記述すると、ある種神秘的な行法、
特別な健康法と期待されて、それさえ手に入れれば
すべて問題が解決する特効療法と思われがちです。
東洋医学では、あん摩や鍼や灸を使って、
体表からの刺激を与えて、身体の滞っている氣のめぐりを治す。
また、生薬を煎じて体内から氣血めぐりを治す漢方薬療法があります。
東洋医学も、まだまだ、神秘的という言われかたもされていますね。
われわれの太極拳もそう取られる要素はたくさんあります。
事実、私なども、足の指先から手の指先まで身体のすべてに
氣をめぐらせて動きましょうと言っているわけです。
それで、覚えられない、うまく動けないのは氣のめぐりが悪いと
いうことになるのでしょうか。

そこで、氣をどうすれば出せるようになるかのご質問や
ご要望が生じてくるのかもしれません。

その時の私の回答は、
「充分氣がめぐっていて、しっかり出ていますよ。」と、
練習開始の時間になっていましたので、
そのことだけお伝えしたわけです。

ご質問の方は手作りのハムやソーセージを販売していらっしゃる方です。
日々忙しい仕事の唯一のお休みの日を太極拳の練習日に当てて来られています。
安心して食べていただける食品を製造販売されるには、
それ相応の気配りが必要です。
内神道では、氣を次の五つに分類しています。

 ≪氣勁の分類≫

1、慈愛氣・・・友人や家族や子どもを思いやり、老人や弱い人や動物を労わる心から
        生まれる氣
2、悟達氣・・・勉強や発明や研究で集中したり、疑問や困難を解くために考える心から
        生まれる氣
3、武道氣・・・身を守るときや正義を行いたいときの心に生まれる氣
4、医療氣・・・健康や治病の心に生まれる氣
5、未来氣・・・将来のことや希望について集中するときに生まれる氣

 食べ物の製造販売にはこの氣がすべて欠けることなく
めぐっていると思います。立禅時の瞑想の中での「氣」ではなく、
実際のお仕事の中での「氣」の応用、正に、氣配りの実践を
されていらっしゃると考えましたので、先の返答だったのです。

その日は、ご質問の前に、新しく駅前にクラフトビールの
販売所がオープンするので、そこで、4種類のハーブを順々に使って、
ソーセージを販売してほしいとの依頼を受けているとのお話をされました。

そこでまずは、ローズマリーを使って
提供したいと考えているとのことでした。
それらは町田市からの依頼を受けてのことということでした。

ローズマリーは外用すると、リウマチ痛と筋肉痛に非常に良く、
通風とリウマチに全体的に有効な薬剤といわれています。
また創傷用剤としても優秀です。ローズマリー精油は、
頭皮の色々な病気に使用することも、昔から行われています。
これには刺激・清浄作用がありますので、
脱毛やフケにとても有効ということです。
葉の精油主成分には以下のものが掲げられています。

カンフェン、シネオールで、ほかにボルネオール、リナロール、
ベルベノール、フェノール酸、トリテルペン酸、フラボン配糖体、
ロスマリン酸、サポノサイド、タンニンなど。
それで、緊急の問題は、
ローズマリーの現物が中々手に入らないので、
会員の皆さまにお声がけさせていただき、
お庭に植えてあればご提供いただきたいということでした。

そのお声がけを休憩時間に、皆さまにされ、
私も他の会のところでもこの件を話したところ、
数日中に、何人もの方々からたくさんのローズマリーが届きました。

それをお持ちしたところ、
「本年度分は充分にそろいました」と、
大変喜ばれました。
これらのエピソードこそ、氣の日常のめぐりのといえると考えるものです。
また、その返礼として、美味しいソーセージを会員の方々にお配りいただき、
私もそのお相伴にあずかり、元氣をいただいた次第です。〔O〕